2017年『国際中医中薬雑誌』に中国中医科学院中国医史文献研究所が発表した
「臓腑弁証の源流の初歩的研究」
脏腑辨证源流初探
陆雪秋 王凤兰 张明明 寇鲁辉 孙亮
《国际中医中药杂志》2017年 第4期
(オープンアクセスPDFファイル有り)
歴史的には『霊枢・経脈篇』が経絡弁証の基礎となっています。
後漢、張仲景先生の『傷寒論』では『素問・熱論篇』をもとに六経弁証が成立しました。
清代の葉天士先生が『温熱論』で衛気営血弁証を創ったのが1746年です。
清代の呉鞠通先生が『温病条弁』で三焦弁証を創ったのが1798年です。
清代の曹炳章先生が『弁舌指南』で現代の舌診を完成させたのが1924年です。
臓腑弁証は1950年代に任応秋先生と秦伯未先生がまとめたものだと思います。
この論文、「臓腑弁証の源流の初歩的研究」によれば、華佗に仮託された『中蔵経』で臓腑弁証の理論体系の第1次整理が行われました。
隋代の『諸病源候論』巻十五、五藏六腑諸侯は、臓腑弁証の基本として参考になります。
唐代の『備急千金要方』で臓腑弁証の理論体系の第2次整理が行われました。
宋代の『小児薬証直訣』で五臓を中心とした考え方があらわれました。
金代、張元素先生の『医学啓源』で臓腑弁証の体系の第3次整理が行われました。
金代、劉完素の『素問病機気宜保命集』でも病機十九条が論じられています。
さらに李東垣の『脾胃論』や朱丹渓の『丹渓心法』で臓腑の機能が研究されます。
明代、万全の『幼科発揮』では五臓で病気を分類しています。
明代の汪绮石の『理虚元鑑』でも五臓の脾・肺・腎を重視して分析しています。
清代、江涵暾著、『笔花医镜』 では、巻二、臓腑証治で五臓六腑の病証を論じています。
そして、何より清代の葉天士先生が『臨床指南医案』で多くの創案を行いました。
中国中医科学院中国医史文献研究所がまとめただけに、理論的に整理されていると感じました。
コメント