明代、張介賓著『景岳全書』の暑証に関する論述です。
「暑気中(あた)り」という日本語は中国伝統医学の「中暑」が語源になっています。「暑気に中(あた)る」と「中暑」となります。中暑には陽暑(熱中症)と陰暑(夏バテ)があります。
以下、引用。
暑証は夏の熱病が本質であり、中暑となって病むものは暑気によって病となる。
この病には陰陽のニ分類があり、陽暑と陰暑がある。
陰暑は暑い時に寒邪をうけて起こる。暑さを恐れて涼しさを貪り、寒気を避けないために起こる。
これは暑い月に寒邪を受けるために陰暑という。すなわち傷寒である。ただ、温散するを主と為すが宜しい。
生食や冷食で内臓を寒涼で傷つけ、嘔吐や下痢、腹痛になるのは暑さで寒邪を受けてなり、寒邪は内臓にあり、温中を主と為すが宜しい。これもまた陰暑の一種である。
暑証は暑気を受けて発熱するものであり、張仲景先生の論述にある。ものすごく暑い日に長旅をしたり田野で働き、熱毒が陰を傷つけ、頭痛煩躁となり、身体は熱く、喉は渇き、大汗となり、脈は浮いて呼吸は粗い。これは暑月に熱邪を受けたもので、名を陽暑と言う。
暑証に八証がある。脈虚。自汗。身熱。背中が冷える。顔色悪く、煩(イライラ)して喉が渇く。手足は微かに冷え身体は重い。これを治療するには元気を調整し、次に清利する。
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