日本中医学会第9回学術総会で最も面白かったのは、シンポジウム「中西医学結合の最前線」の日本医科大学名誉教授、高橋秀実先生の『中医学と免疫学 獲得免疫と自然免疫』です。
「脂質について医大でほとんど教えられていない」というのは納得です。そして痰湿など脂質という面から六腑や漢方の生薬を捉え直すという視点は新しいし、古典の造詣も深く、とても面白かったです。
中医学は、少なくとも昔の私にとっては、頭皮鍼や耳鍼や鍼麻酔など「何でも取り入れる柔軟さ」が魅力だったのです。焦氏頭皮鍼は脳神経外科医が作ったものだし、耳鍼はフランス起源です。鍼麻酔は西洋医学です。実際、2015年の中国初のノーベル医学賞の青コウからのアルテミシニン研究も中西医結合です。
間中喜雄先生が日本における中医学の初期の積極的紹介者だったのはよくわかります。耳鍼、スイナ、鍼麻酔、古典研究、西洋医学のミックスは間中喜雄先生の仕事の軌跡そのままです。
講演で一番がっかりするのは「それは既に知っている」とか「自分の方が詳しい」という講演を聞くことです。この講演は全く新しい視点で、やはり外の視線が大切だと思いました。
「総説免疫と漢方:黄帝内経に啓示された古代人の智慧
高橋 秀実
『日本東洋医学雑誌』2013 年 64 巻 1 号 p. 1-9
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/64/1/64_1/_article/-char/ja
「脂質制御医学としての東洋医学」
高橋 秀実
『日本医科大学医学会雑誌』
2013 年 9 巻 4 号 p. 208-213
https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/9/4/9_208/_article/-char/ja
「古代東洋医学と現代免疫学 新たな医学の到来に向けて」
高橋 秀実
『日本医科大学医学会雑誌』2019 年 15 巻 2 号 p. 57-64
https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/15/2/15_57/_article/-char/ja/
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