週刊『あはきワールド』「膝痛に対する私の鍼灸治療法とその症例 (1) ~メンタル・タフネスの鍛え方と治療同盟のつくりかた~」を書かせていただきました!

週刊『あはきワールド』で、「膝痛に対する私の鍼灸治療法とその症例 (1)~メンタル・タフネスの鍛え方と治療同盟のつくりかた~」を書かせていただきました!

現在の自分が持っている技術の中で、1番大切にしている部分を書かせていただきました。このようなチャンスを与えていただいた編集部の方々に感謝しています。ぜひ、お読みください!私も長年『あはきワールド』を購読させていただき、1番、臨床の役に立っています!

 
 
【メンタル・タフネスのつくりかた】
上記記事の文中でメンタル・タフネスについて記述していますが、実は、最初のメンタルタフネスを論じた本である『メンタル・タフネス―勝つためのスポーツ科学』を書いたジム・レイヤーはテニスプレイヤーでした。
 
 
1986年「メンタル・タフ:スポーツ勝利とビジネス勝利の原則」
Mentally tough:the principles of winning at sports applied to winning in business
James E. Loehr
M. Evans and Co. 1986
 
 
ジム レーヤー (著), 小林 信也 (翻訳)
ティビーエス・ブリタニカ (1987/5/1)

 
 
この時期に出版されたテニスのメンタル本の白眉は、1985年に日本語で翻訳された『マッケンロー勝つための新テニス戦術書』です。
 
 
1984年ジョン・マッケンロー著「トーナメント・タフ」
Tournament Tough
Carlos Goffi (著), John McEnroe
Ebury Press (1984/11/5)
 
 
カルロス・ゴフィー著  後藤 新弥訳
講談社 (1985/4/1)
 

 
 
いまだにこれを超えるメンタル・タフネスの本はありません。
 
 
テニス選手、マッケンローは1980年、ビヨン・ボルグと映画化された伝説的な試合を行い、1981年にボルグに勝ってウインブルドン2連覇を達成します。
 
 

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男 [DVD]

 
 
1982年は世界ランク1位となり、1985年まで世界ランク1位とまさに技術的絶頂期を迎えているころに、この本は出版されました。
 
著者のカルロス・ゴフィーさんはジョン・マッケンローのテニス・コーチです。
 
テニスは「トーナメント・プロ」と「レッスン・プロ(教えるコーチ)」の両方が産業として成立している稀有な世界です。
 
当時、2つの世界の最高峰であるマッケンローとゴフィーが「テニスのトーナメント・プロの強さは9割9分がメンタルの強さであり、技術はあまり関係しない」と言い切っています。これを当時、世界一のテクニシャンであり、アーティストといわれるぐらい高い技術を持っていたマッケンローと、そのコーチが言ったことが画期的でした。
 
しかも、いま気づいたのですが『メンタル・タフネス』のジム・レイヤーの最初の著作の2年前に、マッケンローの『トーナメント・タフ』は世界的ベストセラーになっています。マッケンローの本のほうが先ですし、はるかに深い内容が書かれています。
 
本書の中では具体名をあげて「実はマッケンローよりも他の選手のほうがサーブは速い」「イワン・レンドルのストロークの技術はマッケンローよりも優れている」と書き、そのあとで、「彼らは技術はマッケンローより優れているにも関わらず、マッケンローに勝てないのは何故か?(メンタルの強さが違うから)」と書いていく構成は、技術論として物凄く面白かったです。
 
『マッケンロー 勝つための新テニス戦術書』を読んでから、メンタル・タフネス技術開発の本や一流の技術者やアスリートが書いた本を何十年も読むようになりました。
 
おもしろかったのは『マリア・シャラポワ自伝』やマリア・シャラポワのインタビューです。
 

 
 
シャラポワは4歳でテニスをはじめて、6歳で女王マルチナ・ナブラチロワにその才能を絶賛されました。
 
チェルノブイリ原発事故の近所に住んでいたときにシャラポワが生まれ、父親は放射能汚染を避けるためにシベリアに移住します。マイナス40度の極寒のシベリアの油田で働いていた父親は、ナブラチロワに絶賛された娘の才能を生かすために、英語も話せないのに、ロシアからアメリカに移住します。
 
7歳のシャラポワと父娘2人でアメリカに移住しますが、ニック・ボロデリー・テニス・アカデミーに年齢制限を理由に入学を拒否されます。シャラポワの父親は複数の仕事を掛け持ちして、ほとんで寝ずに2年間、お金を稼ぎ、ニック・ボロデリー・テニス・アカデミーに娘を入学させます。
 
ニック・ボロデリー・テニス・アカデミーは、アンドレ・アガシやピート・サンプラス、錦織圭やモニカ・セレシュを輩出した超エリート・テニス・スクールですが、そこに入学したときのマリア・シャラポワの感想は「ニック・ボロデリ・テニス・アカデミーの生徒たちはテニスの技術も低く、精神力も弱い、甘やかされたガキしか居なかった」というものでした。
 
「ニック・ボロデリ・テニス・アカデミーでは何一つテニス技術を学ばなかった。スポンサーとのコネクションをつくるには便利だったので利用した」と言い切るマリア・シャラポワ選手のメンタルの強さは、同年代の中でも「超人」のレベルです。天才少女が特殊な環境の中で超人的メンタル・タフネスになる話なので、面白いですが、残念ながら参考にはなりません。
 
 
 
今年、ウィンブルドンで優勝したノバク・ジョコビッチの『ジョコビッチの生まれ変わる食事』も面白いです。
 
 

 
 
セルビアの治療家のO-リングテストに似たアプライド・キネシオロジーによる筋力反射テストでグルテン・アレルギーと診断され、グルテン・フリーの食事に変えてウィンブルドンに優勝し、世界的なグルテン・フリーのブームが起こりました。
 
ただ、ジョコビッチはユーゴスラヴィア内戦の最中に「世界一のテニス選手になる」と決心して、空爆の下でテニスの壁打ち練習をしていたメンタルの持ち主です。もともとメンタルが強かった人が食事を変えたら持久力がついたという本であり、「メンタル超人だ」という感想以外にありません。
 
 
 
その点、大坂なおみさんのコーチであるサーシャ・バインさんの書いた『心を強くする 「世界一のメンタル」50のルール』は良い本です。メンタル・タフネス開発の技術的エッセンスだけを取り出しています。
 
 
サーシャ・バイン
飛鳥新社 (2019/7/11)

 
 
世界ランク66位で「フィジカルは凄い才能だがメンタルに弱点がある」と言われていた2018年の大坂なおみさんのコーチとなり、大坂なおみさんは2018年にセリーナ・ウィリアムズを破って全米オープンで優勝します。
 
2018年にサーシャ・バインさんは年間最優秀コーチとして女子テニス協会から表彰されました。2019年には全豪オープンにも優勝し、大坂なおみさんは世界ランク一位となり、サーシャ・バインさんとの契約は解消されました。その直後に出版された本です。
 
つまり、コーチとして世界ランク66位の普通の選手を世界ランク1位にした直後に出版された本であり、これは凡人である我々にも役に立ちます。
 
わたしは大坂なおみさんの大ファンであり尊敬していますが、大坂なおみさんが「繊細さん」であることは世界中の人が知っています。その「繊細さん」をメンタル・スポーツであるテニスで世界ランク1位にするメンタル技術のノウハウがまとめられています。実は、メンタル・タフネス本を研究すると書いてあることはかなり共通しており、サーシャ・バインさんの本はエッセンスのまとめに近い印象です。
 
 
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする