テニス肘・上腕骨外側上顆炎の理学検査法アップデート

 
2023年1月18日
「成人の外側上顆炎の肘を評価するための臨床検査の違い:検査の信頼性、超音波画像の精度、およびエネルギー消費との関係」
Differences in Clinical Tests for Assessing Lateral Epicondylitis Elbow in Adults Concerning Their Physical Activity Level: Test Reliability, Accuracy of Ultrasound Imaging, and Relationship with Energy Expenditure
Marcos Martins Soares et al.
Int J Environ Res Public Health. 2023 Feb; 20(3): 1794.
Published online 2023 Jan 18.
 
 
以下、引用。
 
ミル・テストと超音波検査では優れた信頼性が発見された。コゼン・テストでも優れた信頼性が発見された。
 
 
テニス肘、上腕骨外側上顆炎を研究する際に、多くの落とし穴となるポイントがあります。
 
 
上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019改訂第2版
 
 
ガイドラインの中に重要な身体所見として「抵抗下の手関節の背屈テスト(いわゆるトムゼン・テスト)」という記述があります。
 
トムゼン・テストは「抵抗下の手関節の背屈テスト」と日本語圏の医学では言われていますし、はり・きゅうの国家試験問題にも出題されています。しかし、トムゼン・テストは英語圏の医学では存在しません。
 
 
2017年
「上腕骨外側上顆炎の診断におけるThomsenテストとは?」
佐竹 寛史 et al.
『日本肘関節学会雑誌』2017 年 24 巻 2 号 p. 309-310
 
※Thomsen テストは,上腕骨外側上顆炎の誘発テス トとして国内の整形外科医の中で日常的に使用さ れている.日本人は標準整形外科学や神中整形外科 で整形外科疾患の基礎を習得しており,Thomsen テ ストの認識は高い。
※英語圏内では教科書に Thomsenテストは記述されておらず,上腕骨外側上顆炎の診断は抵抗性手関節背屈テスト として記載されている。
 
 
ドイツのトムゼンは、確かにドイツ語圏でテニス肘の論文を書いていますが、論文ではトムゼン・テストを書いていません。これはドケルバン病におけるフィンケルスタイン・テスト問題とそっくりです。アイヒホッフ・テストは、50年以上「フィンケルスタインテスト」と呼ばれてきましたが、つい最近、ドイツ系の研究者が「英語圏でフィンケルスタインテストと呼ばれているのはアイヒホッフ氏がつくったアイヒホッフテストのこと。ドイツ語圏でフィンケルスタインテストは別に存在する」と指摘し、英語圏の勉強熱心で学問に誠実な医師たちの間で大きな話題になりました。
 
トムゼン・テストは、英語圏ではルイス・コゼン先生が開発した「コゼン・テスト」として知られています。
 
 
2002年
「追悼:ルイス・コゼン」
Dr. Lewis N. Cozen, 1911-2001
AM Halder
The Journal of Bone & Joint Surgery 84(3):p 510, March 2002.
 
彼はテニス肘の診断のコゼン・テストを開発した。
 
 
またはイギリスのジョージ・パーシバル・ミルズが1928年に開発したミル・テストが行われています。
 
 
1928年『英国医師会雑誌』
「テニス肘の治療」
THE TREATMENT OF “TENNIS ELBOW.”
G. Percival Mills
Br Med J. 1928 Jan 7; 1(3496): 12–13
 
 
2021年「肘外側腱症の理学検査法の診断精度:システマティックレビュー」
Diagnostic accuracy of examination tests for lateral elbow tendinopathy (LET) – A systematic review
Stefanos Karanasios
J Hand Ther
. 2021 Feb 27;S0894-1130(21)00039-9.
 
コゼンテストは91%という高い感度を示した。
 
コゼン・テストとミル・テスト、トムゼン・テストの開発者と根拠となる論文について、AIのChatGPTに質問し続けたところ、見事に間違った解答を答え続けて驚きました。
 
西洋医学の文献『上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019』のようなエビデンスにも基づくガイドラインも、国家試験の問題も、教育機関で教えられていることも、すべてが間違っているのですから、それらを集めたところで間違った情報の出力になるのは仕方のないことかも知れません。
 

【テニス肘、上腕骨外側上顆炎とモーズリー・テスト(=中指伸展テスト)】

1972年 モーズリー
「橈骨神経管症候群:難治性テニス肘と神経炎トラップメント」
Radial tunnel syndrome: resistant tennis elbow as a nerve entrapment
R H Maudsley et al.
J Bone Joint Surg Br. 1972 Aug;54(3):499-508.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4340924/

「テニス肘」「上腕骨外側上顆炎」の理学検査法として中指伸展テストがあり、モーズリー・テストと英語圏では言われています。アメリカの医師、R・H・モーズリーが1972年に橈骨神経管症候群、難治性テニス肘の理学検査法として提唱したことに由来します。

テニス肘である上腕骨外側上顆炎は、上腕骨外側上顆に疼痛が誘発される筋腱付着部症です。それに対して難治性テニス肘である橈骨神経管症候群は、上腕骨外側上顆から2~5cm離れたフローゼのアーケード、またはヘンリーのモバイルワッドに疼痛が誘発されます。絞扼神経障害であるエントラップメント・ニューロパシーであり、上腕骨外側上顆炎と異なる病態です。

モーズリー・テスト(=中指伸展テスト)の感度は88パーセント、つまり100人の上腕骨外側上顆炎の患者のうち88人が陽性となります。しかし、特異度は0パーセントです。

DIAGNOSTIC ACCURACY OF PROVOCATIVE TESTS IN LATERAL
EPICONDYLITIS
G Saroja et al.
International Journal of Physiotherapy and Research,
Int J Physiother Res 2014, Vol 2(6):815-23.
※The results infer that the Maudsley test has a good true positive rate with a sensitivity of 88%

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