腎陽虚

 

2018年11月22日
【小雪‧二十四節氣】核桃補腎固精 核桃3食譜

 

小雪の11月22日から寒くなりました。

五果(李・杏・棗・桃・栗)で腎に属する栗や胡桃は補腎陽の効能があるとされています。
栗は五行の水に属し、五臓の腎に入ります。

 

【栗】
性味:甘味、温性
帰経:腎経、脾経、胃経
効能:補腎強骨、健脾養胃、活血止血、健脳強壮
補腎強骨・・・腎を補い、骨を強くする。
健脾養胃・・・脾を健やかにして、胃を養う。
活血止血・・・血栓を溶かして出血を止める。
健脳強壮・・・脳を養い、身体を丈夫にする。

※清代、王士雄著『随食居飲食譜』栗
甘平。补肾, 益气, 厚肠, 止泻, 耐饥, 最利腰脚, 解羊肉毒。

 

【胡桃仁(ことうにん、クルミ)】
性味:甘味、熱性
帰経:腎経、肺経、大腸経
効能:補腎温陽、健脳、斂肺定喘、潤腸
補腎温陽・・・腎を補って、陽を温めて冷えをとる。
健脳・・・脳の働きをよくする。
斂肺定喘・・・肺の気を収歛させて強くして、喘息を改善する。
潤腸・・・腸を潤おし、便秘を解消する。

※江戸時代、寺島良安『和漢三才図会』
「胡桃仁。甘味、熱性。よく腎・肺に入るので、虚寒症のものには最も良い。痰火・積熱のものは多食するとよくない。三焦の働きをよくし、気を益し、血を養い、肌を潤し、髭や髪を黒くする。」

※ 清代、王士雄著『随食居飲食譜』胡桃
一名核桃
甘温。润肺, 益肾, 利肠, 化虚痰, 止虚痛, 健腰脚, 散风寒, 助痘浆, 已劳喘, 通血脉, 补产虚, 泽肌肤, 暖水脏, 制铜毒

 

腎陽虚はWHOのICDー11では‘Kidney yang deficiency pattern ’ です。

寒くなってくると腎不納気で慢性気管支炎や喘息も悪化します。WHOのICDー11では‘Kidney failing to receive qi pattern’です。

 

陽気が衰えるので寒がり、手足が冷え、元気がなくなり、腰膝が痛み、夜にオシッコが多くなり、陽が足りなくて相対的に陰液が余って舌がむくみ(胖大舌)、冷えて淡白舌となります。脈は沈脈・遅脈で、尺脈が弱くなります。

 

治則は温補腎陽です。代表的な方剤は八味地黄丸で三補三瀉で補腎陰する六味地黄丸に、附子と肉桂で補陽して結果として補腎陽します。

 

督脈の命門と任脈の関元などの督脈・任脈のツボや、腎兪や太溪が代表的な治療穴となります。

 

腎陽虚に栗やクルミは良いとは思うのですが、消化不良の方にはよくないです。補肺の松の実やギンナンのほうが良い気がします。

 

補腎陽の附子を配合した八味地黄丸は江戸時代に拝借丸と呼ばれていました。江戸時代の医家は、附子を補腎陽で用いるのは「火のついたロウソクに油を注ぐようなもの」と表現しています。火は勢いよく燃えるが、ロウソク(寿命)は早く尽きてしまいます。後天の精(脾胃の水穀の精)を補い、ロウソクのロウを接いだり、脾胃の状態を改善したり、火が効率よく燃えるように利水するほうが本質的ではないでしょうか。八味地黄丸はまさに三補三瀉の六味丸にさらに補陽の附子・肉桂を加えるという複雑な処方となっています。

八味地黄丸は夜間頻尿や腰痛やEDや耳鳴や喘息などに使われ、まさに補腎の基本処方ですが、かなり複雑な処方によって結果的に補腎しています。

命門(GV4)・関元(CV4)・腎兪(BL23)・太溪(KI3)は頻尿や腎虚腰痛には一定の効果があると思いますが、この組み合わせだけですべての腎虚に対処するのは不可能です。

 

『華氏中蔵経』や『諸病源候論』、『備急千金要方』などの腎臓の病証に関する記述を検討しましたが、臓腑病としての腎虚はかなり不透明です。

例えば『備急千金要方』では、巻十九「腎虚実」で腎実熱として「舌燥咽肿,心烦咽干,胸胁时痛,喘咳汗出,小腹胀满,腰背强急,体重骨热,小便赤黄,好怒好忘,足下热疼,四肢黑,耳聋,名曰肾实热也」とあります。足の裏の火照りや舌・のどの乾燥感、イライラ、耳鳴など、これはたぶん更年期の腎陰虚に相当すると思います。

 

腎虚寒として、「小腹胀满,上抢胸痛引胁下,名曰肾虚寒也。治肾气虚寒阴痿,腰脊痛,身重缓弱,言音混浊」と論じています。EDや腰痛など、これは腎陽虚に相当してもおかしくないです。治療としては「腎兪に灸を100壮」です。

 

約200年前、清代の1824年、江涵暾著、『笔花医镜』卷二脏腑证治では、以下のようになります。

腎の虚証では、脈は左右の尺脈は常に細脈・濡脈で、その症状は頭痛、耳鳴、盗汗(寝汗)、夜熱、健忘、咳嗽、喘息、吐血、腰痛、腰足酸軟、眼光が無力、便秘、失禁、慢性下痢や慢性瘧である。

腎の寒は腎虚である。脈は左右の尺脈は必ず遅脈沈脈で、それは命門火衰であり、食欲がなく、鶏鳴下痢となり、天柱骨が倒れ、横たわり、手足は厥冷で奔豚気をなす。

腎の熱は、水がまさに涸れようとしている。左右の尺脈は必ず沈脈が数脈であり、あるいは浮脈で空虚である。舌は黒く無液で、その症状は口が渇き、ノドが乾燥し、眼がみえなくなり、小便不利または小便がにごり、出血し、便秘となる。

 

 

韓国の舎岩鍼法は、
腎虚証(腎の正格)には、「復溜・経渠の補法、太溪・太白の瀉法」です。
腎寒証(腎の熱格)には、「然谷・少府の補法、陰谷・少海の瀉法」です。
腎熱証(腎の寒格)には、「陰谷・少海の補法、太溪・太白の瀉法」です。
腎実証(腎の勝格)には、「太溪・太白の補法、湧泉・太敦の瀉法」です。

腎虚を肺経や脾経や心経や肝経から治療しようとする思想であり、個人的にはこの舎岩鍼法の思想を検証していこうと考えています。

 

 

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