弁証論治研究:『秦伯未医学名著全書』

 

 

 

秦伯未『秦伯未医学名著全書』
中医古籍出版社2003年1月

 

北京の王府井の書店で買いました。秦伯未先生の日本語訳『中医入門(たにぐち書店1991年)』や『中医臨床備用(医歯薬出版1989年)』は真の名著であり、もちろん2003年『秦伯未医学名著全書』に収録されています。

 

『秦伯未医学名著全書』 の白眉は「谦斋医学讲稿(1964年)」で、その中の「脏腑发病及用药法则提要」は臓腑弁証の原型です。

 

これを補完する資料が1959年秦伯未著『中医入門』の第1章、第3節の五臓六腑や、第2章、第1節の弁証です。

 

1959年秦伯未著『中医入門』の弁証では
一、表裏寒熱虚実
二、六経
三、三焦(包括衛気営血)
四、病機
の4つしか弁証がありません。

1959年『中医入門』には臓腑弁証も気血津液弁証も存在しません。八綱弁証も表裏寒熱虚実だけで、陽証・陰証が無いです。

 

「谦斋医学讲稿(1964年)」の「六、论肝病」で、肝気・肝陽などの言葉が理論的に見事に整理され、「肝気横逆」という病態が分析されています。これがおそらく「肝鬱気滞」の原型だと思います。

 

もう一つ重要なのは、「谦斋医学讲稿(1964年)」の「气血湿痰治法述要」です。おそらく、気血津液弁証、または気血痰食弁証のもとになった記述です。

気虚に(一)補気、
気滞に(二)疏気、
気陥に(三)昇気、
気逆に(四)降気、

血分病の
血虚に(一)補血、
血瘀に(二)行血、
血出に(三)止血、

湿病に
(一)化湿、
(二)利湿、
(三)逐水、

痰病に、
(一)化痰、
(二)消痰、
(三)滌痰

の治則を論じています。

 

化湿は、芳香化湿のように、軽く香りのあるもので絡を開いて湿邪をとります。

利湿は温陽利湿のように利小便します。

逐水は実証タイプの大小便不利に対して、瀉下して水湿を追い出す治法です。

化痰は宣肺化痰のように、痰濁阻肺に対して宣肺して外に追い出します。

消痰は昆布や海草で単純性甲状腺腫を小さくする消痰軟堅が典型的です。

滌痰は粘痰を大便によって体外に出すという治療法です。

鍼灸ではここまで細かく分ける意味がないと思います。

 

1960年に書かれた「气血湿痰治法述要」は、気血津液弁証の基礎となったものであり、シンプルです。

 

秦伯未先生は1919年に18歳で上海中医専門学校に入学しました。上海中医専門学校は1917年に孟河学派の丁甘仁先生が創立しました。上海中医専門学校は後の上海中医学院、上海中医薬大学であり、南京中医学院と上海中医学院の教科書が中医学を形成しました。

 

 

 

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